多様化した社会に,11歳の少年。


日本は極東にあって島国でほぼ単一民族。そして私はぼーっとしている。

だからこの本を読んで,知らないことがいっぱいあって,驚いた。多様性があるとこんなに複雑なんだ。

日本も地域によって色んな文化があるので,地元を離れて,大学で色んな所から来た人たちと知り合って,驚いたことがたくさんあった。自分や,自分の地元の当たり前が,当たり前ではないことを知った。

今,英国は多民族。移民も多い。貧富の差も大きい。労働者階級,中流階級といった違いもある。

著者は日本女性,配偶者はアイルランド人。だから生まれた男の子は「イエローでホワイト」

この子がとても純粋で賢い。

母親が人種差別的な言葉を浴びせられているのを,小さい時から見ている。自分も,幼い時は父親似だったけれど,だんだん東洋人の顔になってきて,差別的なことを言われるようになる。

人種差別問題。格差問題。11歳の少年は,自分を取り巻く世界を見て,色んなことを母親に質問し,対話し,考える。学校でも学び,考える。

母親の言葉。「多様性は,うんざりするほど大変だし,めんどくさいけど,無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う」

英国では授業に「ライフ•スキル教育」というのがあることも知った。

例えば筆記試験で「エンパシーとは何か」という問題。少年は父親に何て書いたか聞かれて「自分で誰かの靴を履いてみること」と答えた。これは英語の定型表現で,他人の立場に立ってみる,という意味。

「自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力」ケンブリッジ英英辞典のサイト。多様性に富む国では特に,大切な能力。

そういう教育を受けてきたからか,災害が起きた時など,援助するための民間の人々の動きは,素早い。

教育は大切。教育とまで大きなことではなくても,正確な情報や知識が必要。無知ゆえに無神経なことを言ってしまうことがある。傷つけてしまうこと,怒らせてしまうことがある。間違った思い込みで差別してしまうこともある。

例えばハーフと言う言葉。少年は「ひどい表現」と。1人なのに「半分」という意味だから!考えたことはなかった。皆が言っているから,当然そういう言い方をするものだと思っていた。憧れのような気持ちも入っていたのだけれど〜。

「多様性」はこうやって少しずつ「無知を減らす」

誰の周りにも,年齢,職業が様々な人たち,家族で暮らしていたり独身だったり,配偶者を亡くした人,離婚して1人で子どもを育てている人,介護している人,ヤングケアラー,目や耳,足,他,体が不自由な人,様々な病気の人,他の国から来た人,etc.あげるときりがないくらい色んな人がいる。多様性がある。

エンパシー。想像してその人の感情,経験を理解する能力。そういう能力はあった方が良い。

あり過ぎは,また,困る気がするけど。

 

はてなブログで,この本のことを書いている人がいて,読んでみようと思っていたことを,思い出した。ブレイディみかこさん,新しい本を出したみたい。

あと読みたいのは「スマホ脳」。何ヶ月か前,図書館で予約しようとしたら84人待ちだったのでやめた。今ならもう少し減っているかな。