順応性があるって良いことだ


娘が持ち帰ったニジマス6尾。袋を開いて見たら,丸い大きな目が。内臓とウロコを取り洗ってあると聞いていた。頭も落としてあるのかと思っていたので,見た時ギョッとした。おまけに1尾,死後硬直か少し丸まっている。それをつかみ出し,真っ直ぐにする。骨が折れないかと心配だったが,素直に真っ直ぐになった。

ニジマス3尾,頭を落とす。久しぶり。1尾ごとに慣れていく。塩焼きにして食べた。全く魚臭くなくて,とても美味しかった。翌日,娘はムニエルを。これもとても美味しかった。料理の写真を撮り,釣りに連れて行ってくれた夫婦に送っていた。

昔,高校生の頃,海老を茹でるよう言われ,沸騰したお湯に生きた海老を入れた。入れた後,怖くてじっとしていられなくて,台所を走り回った。いつも美味しく食べている海老は,こうやって茹でられていたんだ。

結婚するまで魚をさばいた事がなかった。初めてアジをさばいた時は気持ち悪かった。でも,慣れた。その後,小アジの南蛮漬けをよく作った。

人間を含め,生き物には順応性がある。色んなことに慣れて,順応していく。

暑さ寒さもそうだ。冬に移ろうとする頃,ぐっと気温が下がった日があった。とても寒く感じて真冬並みの格好をした。でも段々気温が下がって冬になって,その日より気温は低いのに,その日ほど厚着しなくても平気。

娘が仕事で山形に住んでいた時。山形の友人と一緒に東京に来て,翌日2人が出かける時,薄着だけど大丈夫かな,と思った。途中で心配になり,風邪をひいたらどうしようと思ったが,帰って来た2人に寒くなかったか聞いたら,「寒くなかった。でも周りの他の人たちは私たちより着込んでいて。私たちはこっちの人より寒さに強いのかな,と2人で話してた」

娘はもう山形の寒さに慣れたんだ,と感動した。

娘は,交通事故に遭ったので療養のため,数年前に帰って来た。最初の冬は薄着で平気そうだったけれど,もう次の冬は東京の人と同じような格好をしていた。残念に思った。でも,人は順応性があるから,慣れるからね。

室蘭から来た若い友人。数年前の冬にこちらに引っ越して来た時は,暖かいのに驚いて,しょっ中「室蘭の友人たちに,この暖かさを分けてあげたい!冬なのにこんなに暖かいなんて,信じられない!」と言っていた。でも,数年後「東京の寒さは,また違う。東京の方が寒い」と言い出した!部屋だけの話でしょ?と言っても,いや,部屋の事じゃない,と。これは笑ってしまった。そんなわけない。来たばっかりの冬の発言を録音しておいて,聞かせたかった。

寒い地方の動物園にいるライオンは,毛が少し長くなると聞いたことがある。寒さに対抗するため。聞いただけで見たことはないので真偽は不確かだけど,あると思う。