服を処分しにくくなった。バングラデシュの少女の言葉


「服を作るのがどれだけ大変か,人は知りません。ただ買って着るだけ。でも,その服は私たちの血でできています」  (映画『ザ•トゥルー•コスト』予告編より)

 

娘の友人がバングラデシュに短期で行くという。バングラデシュがどんな国か少し調べてみようと思っていた時,テレビで「メイド•イン•バングラデシュ」という映画が紹介された。

それに関連して2013年4月に起きた“ラナ•プラザの悲劇”と言われる事故を知った。私はなぜ,この事故を知らなかったのだろう。ニュースで見なかったのだろうか。見たのに,遠い国のこと,と思って印象に残らなかったのだろうか。

この事故を扱った映画「ザ•トゥルー•コスト〜ファストファッション真の代償〜」のことも知った。2015年日本公開。予告編を見てみて衝撃的を受けた。

縫製工場が崩壊し,そこで服を縫っていた女性たちが1100人以上亡くなり,3000人以上の怪我人が出た。低賃金で劣悪な環境で働かざるを得ない女性たちがいる。

ファッション界の裏側で,こんなに悲惨なことが起きていたとは。

衣料を大量に作るにために,大量の農薬を使って綿花を育て,化学染料を使い,汚染された大量の水が流される。農薬をまいたり服を染めたりしている人たちの健康も害される。破棄される衣類が大量に出る。予告編に,ぼろくずに見える衣類の山の映像があった。

私は買ったらずいぶん長く着る方だと思う。四季があって,一年中着るわけではないので,長持ちするから。先月,iPad内の写真を減らそうと,見直していたら,7,8年前からお気に入りの夏のワンピースが繰り返し登場。同じカーディガンを着て。同じく,冬のカーディガンも繰り返し登場。ちょっと嫌になった。

写真に残るんだから,同じ物ばかりにならないようにしたいと思った。もう処分しようか,とも。

そして,シミをつけてしまったカジュアルなダウンコート,取ろうとしたけれど上手くいかなかったし,お気に入りにならなかったので(自分が選んで買ったのに)どうやって処分しようか,と考えていた。

そんな時に「洋服を作るって大変なんです」。低賃金,おそらく長時間労働若い女性の言葉。

コートの裾の縫い目を見ると,タックをとりながら細かい縫い目で縫ってある。家庭科で服を作ったことがあるから分かる。服を作るのは大変。

市の衣類資源ゴミ(…)収集に出そうかと思っていたが,出せなくなった。

ワンピースもカーディガンも,着れば良い。写真を撮るような時は着て行かないようにすれば良い。か?冬のカーディガンはもう飽きているんだけど‥。

個人の努力では何も変わらない。服を捨てなくても,服を作っている女性たちには何の関係もない。逆に大量に買ったとしても。

ただ,やはり知ることは大切だ。

安い服は,買い易く捨て易い。お気に入りでない限り。安い理由や,資源として出した衣類がリサイクルされているつもりが,実際はどうなっているか,環境汚染,労働環境,などなど。全部知ることは無理だが,知る機会があれば知っておきたい。

エシカル(倫理的)消費,という言葉も良く聞くようになった。

20年ほど前に“フェアトレード(公正な貿易)”という言葉を知って,なるべくフェアトレード商品を買おうと思った。バナナとか。でも,フェアトレード商品がある,ということは,そうではない物が沢山あるということ。おかしなことだ。

浅い知識しかなくて,詳しいことは知らないけど。