生きていて,動けるって,素晴らしい

7年前に父が亡くなって,それからあまり食事をとらなくなったら,半年後具合が悪くなり,食欲がなくなり,病気になってしまった。父と同じ肺の病気。初めは病名も同じ間質性肺炎と言われたが,後で器質化肺炎と。ステロイド薬で治った。

夫は単身赴任,子どもたちは自立して家を出ており,食べたくなければ作らずに済んだので,それがいけなかった。

食欲がなくなってからは特に甘い物が食べられなくなった。これなら喉を通るのではと,友人たちが持って来てくれるプリンとか加糖ヨーグルトも,全く食べられなかった。不思議。

少し良くなってテレビを見る元気が出た頃。

天気予報がとても多いことに気付いた。また情報番組では,美味しいもの,楽しめる所,ファッション,などを紹介している。ドラマも,健康で普通に動ける人たちのお話。

寝たり起きたりの私には無縁。まだ少ししか食べられないし,少ししか歩けないので外出,旅行なんてもちろん無理。必要な物もないので買う物もない。ドラマは楽しんだけど。

病気になって,この世界の外に来てしまった感じがした。

元気な頃は思いもしなかったが,この世は(正確にはテレビは),元気な人たちを対象にしている,と思った。

病院でも心底驚いた。紹介されて大きな病院へ。広い駐車場に車がいっぱい!

そして血液検査をする人がいっぱい!こんなに血液検査が必要な人たちがいるの?!とびっくり仰天。肺のレントゲンを撮る人も多かった。病院も別世界に見えた。

行くたび,病気の人ってこんなに多いんだ!と驚いた。

時々する断食は,体に良いと聞く。腹八分目が良いと聞く。でも食べないのはだめだ。あたりまえ。人は,息をして,食べていないと,生きていられない。

自分の命を,自分だけのもの,と思ってしまっていた。自己中心的になっていたのだ。その結果,病気に。後で,命は授かったもの,そして私の命は夫のものでもあり,子どもたち,友人たち,母,弟にとっても大切なもの,と思った。

私の生き方は私のものだけれど。

担当の先生たちは,病気の原因を探すために検査をしてくださったが,不明。具合が悪くなった時に飲んだ漢方薬でしょう,と。その時は,食事をちゃんと取っていなかった時期があったことを忘れていたので,言わなかった。

「もう漢方薬は飲まないように」「西洋薬は良いんですか?」「ん〜西洋薬も大丈夫とは‥」

それ以来,薬は,一切飲んでいない。風邪をひきそう,葛根湯を飲んでおきたい,と思っても,頭が痛い,頭痛薬飲みたい,と思っても,飲まない。コロナのワクチンは打ったけど。

薬の代わりに,血流を良くする,あたたまる,カモミールティーを飲む。毎日ビーポーレン(ミツバチの花粉団子。商品名「みつばちのパン」)を食べておく。

5年の命かな,と思ってからもうすぐ6年になる。その間,元の生活に戻れた頃と同じく,喜びを持って一生懸命生きているかと言えば,そうではない。段々“そんなのあたりまえ”に戻っていった。

でも,やはり,毎朝,生きていて,動けることに感謝している。