クリーム色の服。一つは処分,一つは手放す。

クリーム色のパジャマを母にもらって,着てみたらとても似合った。日本人の肌にはだいたいクリーム色が似合うのかもしれないが。

もうそのパジャマはない。処分した。毎年秋冬十分着て,傷んだので。

処分と言わず「手放す」という言い方が増えていると思う。

処分は「処分場」というように物として捨ててしまうイメージ。

手放すは,今まで大切に手の上でいつくしんでいたけれど,それをどこかへ遣るというイメージ。

クリーム色のパジャマ。どうしたか,もううろ覚え。切って使い捨て布にする物もあるが,切るに忍びない物もある。パジャマは切らなかったと思う。

市の資源ゴミに出したはず。これは処分か。

私はだいたい処分かも。思い入れがあり過ぎることがない。

でも,お気に入りだったワンピース。フリーマーケットで売ったワンピースは惜しみつつ,だった。

これも薄いクリーム色。丸えり,小花模様。大好きでよく着たが,もう似合わない歳になったので。

4人の若い女性たちが「これ,良いんじゃない!?」と駆け寄って来た。(え?私と同じ趣味の人たち?)

「レトロで良い〜」(え?レトロ‥もう,そうなのかな‥確かに古風)

演劇で使うということだった。レトロなワンピースを探していたと。

昭和とか,少し前の時代に合うと思って買ってくれたんだ。

私のワンピースが舞台衣装に。これは服にとっては出世か?出番が終わったら捨てられたか?まだ繕いながら,そういう時代の舞台に登場しているか?

そもそも買ったけれど,もっと他に良いのがあって,出番なく処分されたか?

私の目の届かない所でどうなったかは,もう関係ない。

「これ,良いんじゃない!?」と言って買ってくれた,ということが,嬉しい。

このワンピースは,「手放す」の方だった。